クラッシュ・バンディクーレーシング 開発者インタビュー


TAG index

クラッシュ・バンディクーレーシング
開発者インタビュー(電撃プレイステーション)
このインタビューは「クラッシュ・バンディクーレーシング」発売直前に電撃プレイステーションによって行われたインタビューです。質問に答えているのは海外の開発スタッフです。

 



――「3」にもRCG仕様のステージがありましたが、「CBR」とそれの違いを教えてください。


スタッフ:「3」で入ったステージのいくつか(バイク、マリンビークル、複葉機など)は、「CBR」を作るための実験でもあったのです。バイク面ではタイムアタックの面白さを追求する為のコース設計マリンビークルの面ではそれまでの奥スクロールとは違い、360度自由に動けるマップを処理するプログラム、飛行機面では3次元的に配置されたオブジェクトとのあたり判定のチェック、などといった裏の目的が隠されていたのです。


――車の挙動に関して、その奥深さが一番顕著なのは「ジャンプ前の走り(登り坂か下り坂なのか含む)がジャンプに影響する」という部分だと思うのですが、ゲームを知り尽くした開発スタッフとしては、どんな動きがゲーム性に深く関わっていると分析しますか?また、他に注目の挙動などがあったら教えてください。


スタッフ:中心となる演算エンジンに付いては「3」の開発途中から、既にプログラミングが始まり、(ゲーム全体ではなく計算エンジンだけ)1年間、2000時間以上が費やされました。車の挙動に関しては、一部の「ゲーム的な味付け(=誇張)」を除けば全て物理法則に基づいた動きをしています。「CBR」のカートが見せるリアルな動き、これは見た目のライトな印象とは裏腹に、極めて精密にプログラミングされていた物理演算エンジンの力によるものなのです。例えば、路面の種類を取っても異なる21種類ものモデルが用意され、それぞれに別々の摩擦係数、挙動への影響、コントローラーへの情報のフィードバックや、(振動など)、土煙や水しぶきといった視覚効果、トンネル内でのエコーといった効果音など、さまざまなパラメータが設定されています。また、他車や壁面との接触時も、そのカート+キャラの持つ質量や、衝突時のスピード、角度、相対速度、路面の摩擦係数などを正確に計算して、その結果が画面上に表れるようになっています。カートが曲がる時の挙動に付いても、カート+キャラの持つ質量をはじめ、カートの進行方向に対するハンドルの切れ角と抵抗、そしてタイヤのグリップは前後左右への荷重移動量を正確に反映させた上で、四輪それぞれのグリップ量が独立して計算されています。挙動計算に使用されているパラメーターの一部を列挙すると、路面の種類と角度変化、速度、加速度、ハンドルの切れ角、カートの質量、重力(低重力地帯などがあるので)、慣性、重心からの荷重移動量、衝突時の変数および接触時間、タイヤごとの2次元摩擦計算モデル、(ターボがかかっている場合は)ターボのレベル、(キャラによる)ハンドリング/加速/最高速持性、さらにアイテムによる特性変化などのアクションを加えると、各フレームごとの計算量は実に数千回というレベルになります。これらの複雑な処理を経て、「CBR」のカートのリアルな動きが出来上がっているのです。


――「クラッシュ」スタッフは「GT」の熱狂的なファンであると聞きましたが、「CBR」と「GT」に共通点はありますか?


スタッフ:我々はみんな「GT」は素晴らしいゲームだと敬意を抱いています、「CBR」のレース後に登場するデモ画面は、ある意味「GT」へのオマージュといえるでしょう。ですが、同じRCGという以外では実はあまり共通点といえるものはないんです。目指している方向性が全く違うのは皆さんにもお分かり頂けるかと思います。


――各コースではショートカットが用意されていたり、路肩に乗れたりと、走行可能なエリアが幅広く作られていて、どこが最速ラインなのかを探し出すのも大きな楽しみです。このようにコースをデザインされた意図を教えてください。


スタッフ
:コース中に正解ルートが1つしかなかったらつまらないですよね。なので、なるべく色々な走り方が出来る様にしたのです。そうすると、逆に「つぎはぎ スカイウェイ」の様な、ガードレールも無い細いコースを走るドキドキ感も倍増するでしょう?


――また、シリーズ中でつながりがあるオブジェ(「どっきりカチカチパパグマ」で「2」で追いかけ役だった大白熊が背景に登場、など)について教えてください。


スタッフ:「CBR」の企画段階から、それぞれのコースのモチーフは「クラッシュ・ワールド」、つまり今までのシリーズで登場したものにしよう、という事で決まっていました。ですから、ほとんどのコースにはつながりがあるんです。背景のパパグマ以外にも、ひとくいばなのゴックン、アシカのジョー、アルマジロといったお邪魔キャラなんかもそうですよね。いままでのシリーズで遊んでくれたプレイヤーが、「あ、この背景って見覚えがある!」といってくれることを期待して作りました。


――その他、開発中のエピソードがあれば教えてください。


スタッフ:開発が中盤に差し掛かった頃、実用と娯楽を兼ねて、スタッフ全員で有名なストックカードライバーが主催するドライビングスクールに行きました。プログラマーたちはそのドライバーとの同乗走行を経験しましたが、コーナリング中身体にかかった強烈なGが非常に参考になった、と言っていましたよ(笑)



このページでは現在はもう読むことのできないインタビューを掲載します。掲載している内容については権利者様からご連絡いただいた場合は迅速に対応いたします。


TAG index


TAG index