ノーティードッグ 創立30周年 記念インタビュー


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ノーティードッグ 創立30周年
歴代プロデューサーインタビュー(週刊ファミ通)
週刊ファミ通が2014年にノーティードッグ 創立30周年にあわせて企画した特集のなかで実施された、歴代のプロデューサーへの記念インタビューです。日本でクラッシュの育ての親として知られている 鶴見六百さんは、初代「クラッシュ・バンディクー」からシリーズに関わり、「クラッシュ・バンディクー2」「クラッシュ・バンディクー3」「クラッシュ・バンディクーレーシング」の日本版をプロデューサーとして手掛け、「クラッシュ・バンディクーカーニバル」(開発はユーロコムエンターテイメント)にもスーパーバイザーとして参加されています。また、今回のインタビューでは「クラッシュ・バンディクー」「ジャック×ダクスター」「アンチャーテッド」「ラスト・オブ・アス」まで、ノーティードッグ作品のローカライズを手掛けた歴代プロデューサーとして鶴見六百さんのほかに、永井ジョナ勝さん、安次嶺クリスさん、石立大介さんも参加されています。

 
CROSS TALK 歴代ノーティードッグ作品のローカライズを担当した、4名のプロデューサーが集結。同社の魅力を語り尽くす。
日本語版のローカライズプロデューサーとして、ノーティードッグを間近で見てきた4名へのインタビューを掲載。ヒット作をつぎつぎと生み出す人気スタジオの仕事ぶりとは!?


――まずは、皆さんとノーティードッグとの関係からお聞きしたいと思います。どういったタイトルのローカライズに関わったのか、教えてください。


鶴見:私が初めて担当したノーティードッグ作品は、1996年に発売された『クラッシュ・バンディクー』になります。それから、その続編や『ジャック×ダクスター』シリーズなどに携わっています。

永井:僕は2007年にソニー・コンピュータエンタテイメントに入社し、『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』を担当しました。



――その後、ローカライズ担当のバトンを永井さんから受け取ったのが、安次嶺さんだったと。


安次嶺:そうですね。『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』は、内藤(内藤 新氏。同作のプロダクトマネージメントを担当)プロデューサーとふたり体制でローカライズを行い、僕は音声収録を担当しました。最近では『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』のほか、2015年発売予定の『アンチャーテッド』シリーズ最新作『Uncharted 4: A Thief's End』(邦題未定)のローカライズも担当しています。


――なるほど、『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』と言えば、石立さんも制作に関わっていますね。


石立:本編には途中から参加したので、メインで担当したのは追加エピソードの『Left Behind -残されたもの-』になります。『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』は原作のセリフがハードなので、ローカライズするときはセリフのニュアンスを変えないように気をつけながら、いかに親しみやすくするか工夫したのを覚えています。あと、エリーのダジャレをどう訳せばいいか、頭を悩ませました(苦笑)。

永井:ダジャレは石立テイストだったよね(笑)。


――(笑)。ダジャレのシーンは、とても自然だったのが印象的でした。ローカライズを担当されるとき、翻訳のほかに苦労することはありますか?


安次嶺:どの作品でもそうだと思いますが、ローカライズの作業でもっとも苦労するのはスケジュールの調整です。ノーティードッグのスタッフは、いつもギリギリまでクオリティーをアップしようとするので、本当に間に合うか、毎回ハラハラさせられます。結果的に、いつも我々の想像以上のレベルに仕上げてくれるのですが(苦笑)

永井:人物のセリフにもこだわりがあって、モーションキャプチャーで撮影しつつ、セリフを何十パターンも録音するんです。そして、ギリギリまでどのニュアンスがいいのか、ほかのシーンとの兼ね合いなども考慮しながら決めているんです。

安次嶺:ローカライズでも同じくらいセリフを収録するから、声優さんのスケジュール調整がたいへんで。


――極限までディテールを突き詰めるからこそ、世界中で愛されるゲームが誕生しているのですね。とはいえ、開発がギリギリでも間に合うのが驚きです。


鶴見:こだわりに加えて、技術力の高さもノーティードッグの強みですね。修正を依頼したときの、対応する速さと制度は世界一だと思います。たとえば、CERO審査の基準から逸脱したシーンのカットをお願いしても、即座に対応してくれる。社内にそういったトラブルに対応する仕組みができているので、ギリギリまでクオリティーアップに集中できる。


――技術力には定評のあるノーティードッグですが、その強みは昔からあったようですね。


鶴見:そうですね。昔のノーティードッグはいまよりもずっと小さくて、部屋をひとつ借りてオフィスにしていましたが、少数精鋭と言う言葉が似合うスタジオでした。『クラッシュ・バンディクー』がヒットした後、多くの人間がノーティードッグで働きたいと憧れるようになり、現在のようなトップクリエイターが集結した会社への成長したのだと思います。

永井:会社の規模が大きくなったのに、上下関係のないフラットな現場を維持しているというのもいいですね。納得いかないことがあれば、立場に関係なく直接意見を言いに行ける。自由な雰囲気の制作現場をずっと保っているイメージがあります。

鶴見:社長が交代すると、社風が変わったりすることもあるけど、ノーティードッグはブレないよね。


――組織の効率化が進む時代に、全員フラットとは驚きです。スタジオの雰囲気はいかがでしたか?


永井:感覚ですが、皆プロ意識が強くてギリギリまで作り込むというお話がありましたが、ほかにノーティードッグと仕事をして関心したことを教えてください。

鶴見:おもしろいゲームを作ろうとすることに貪欲で、ためらわないところ。有名な話ではありますが、日本語版『クラッシュ・バンディクー』のCMで放送されたユニークな振り付けで有名な"クラッシュダンス"は、ノーティードッグのスタッフが気に入ってゲームにも取り入れられたんです。しかも、単にダンスを取り入れるだけでなく、世界中のスタッフを集めて、地域ごとに問題がないかどうか、受け入れられるかも綿密に話し合っていました。

永井:世界中からスタッフを集めて意見交換し合えるので、いろいろやりやすいですよね。

鶴見:各国のスタッフががんばっちゃうわけですよ。「アイデアが採用されるかもしれない」って(笑)

石立:ファンへのサービス精神が旺盛なところもすごいですね。ステージの片隅にファンならニヤリとするポスターが貼ってあったりしますから。『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』では、セリフにもシークレット要素があって、特定の場所でジョエルがエリーを見つけたときにだけ聞けるセリフも用意されています。ローカライズチームが「音声収録したけど、どこで使うんだ?」と思う言葉が、気づかないうちに実装されていることもあるんですよ。


――プロデューサーにも秘密なんですね(笑)


安次嶺:僕が関心したのは、新しい技術をつねに取り入れたがるところ。実例がないので見送りになることもありますが、実装したほうがユーザーも僕たちも楽しいからと、こだわりを持って入れてきます。


――では、ムリにでも実装した新しい技術とは?


鶴見:『クラッシュ・バンディクー』の『2』か『3』のときに、当時主流ではなかったオートセーブ機能をつけたことですね。皆さんご存知の通り、チェックポイントを通過したときに自動でセーブされたほうが、手動でセーブするより手軽ですよね。当時は社内のルール的にオートセーブを実装できなかったので、実装できるように奔走したというわけです。

石立:プレイステーション4には、データの一部をダウンロードしたらゲームを始められる機能がありますが、プレイステーション3版の『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』のダウンロード版にも同じ機能が実装されていました。


――お話を聞いて、ノーティードッグが真摯にゲーム制作に向き合っていることを再確認できました。


安次嶺:その熱意は僕たちも十分に理解しているので、多少無茶なスケジュールで進めることになっても、「がんばろう!」と前向きになれるんですよ。

永井:ローカライズの作業は多岐にわたり、非常に多忙ですが、それが苦じゃありませんから。それよりも、彼らが作ったものを超える何かを生み出してやろうと考えていました。そういう気持ちにさせてくれるゲーム開発会社は、あまりないと思いますね。

石立:想像通りのゲームには、心が揺さぶられませんからね。こちらの予想以上の作品に関われるのが、ゲーム制作のいちばんおもしろいところです。

鶴見:ノーティードッグは今年で30周年を迎えますが、スタッフの熱意を身近で感じた身としては、なるべくしてトップメーカーに成長したんだと思いますね。


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