2026年7月22日 投稿:@Crash_fannet
クラッシュ・バンディクーの現在地!事業再編「XBOXリセット」の影響は?

以前の当サイトの特集でもお伝えしたように、2023年にマイクロソフトはアクティビジョン・ブリザードを買収し、「クラッシュ・バンディクー」や「スパイロ」を含むアクティビジョン作品のIP(知的財産権)を取得しました。
あれからおよそ3年が経ったいま、マイクロソフトでは大きな方針の見直しが始まっています。これまでXboxのトップを務めていたフィル・スペンサーさんが退任し、アシャ・シャルマさんがその後任としてゲーム部門CEOに就任しました。部門名はMicrosoft GamingからXBOXに改称され、アシャ・シャルマさんは6月10日に「XBOXリセット」というタイトルで社内向けの通達を公開し、ゲーム部門全体の事業計画見直しを発表しました。
今回は、「XBOX リセット」による環境の変化や、そこから予想されるクラッシュシリーズの今後の可能性について考えてみます。
XBOX史上最大規模の組織再編「XBOX リセット」
2023年にマイクロソフトがアクティビジョン・ブリザードの買収を完了したあと、2025年までにマイクロソフトはアクティビジョンなどのゲーム部門も含めて合計でおよそ11550名の従業員を削減し、東京の渋谷にあるスタジオTango Gameworksを含む、4つのスタジオを閉鎖し1つのスタジオを統合しました。(Tango GameworksはのちにKRAFTONが事業を継承し存続しています)レア社の新作「Everwild」や、すでに大々的に発表されていた「パーフェクトダーク」の新作なども開発中止となりました。
こうした動きは「買収後のチーム構造の調整」と「長期的な成功に向けての事業の組織化」のためであると報道されています。
そして2026年にはXBOXのトップにアシャ・シャルマさんが就任し、「XBOX リセット」と称した従業員向けメッセージを公開し、XBOX史上最大規模の組織再編を行う方針を示しました。7月にはその取り組みのなかで新たに 3200名の従業員を削減すること、2つのスタジオの独立、2つのスタジオの売却、そして1つのスタジオについて労働組合と協議を行う方針を示しました。加えて、より優先度の高いプロジェクトに投資を集中させるという事業計画の見直しも明らかにしました。
これらの動きは、いくつもの名作を生み出してきたスタジオの閉鎖も含み、多くのファンが楽しみにしていた新作の中止などもあり、XBOXファンコミュニティにも驚きと悲しみが広がりました。一方で、こうした見直しの必要性について、アシャ・シャルマさんは「現在のXbox事業は健全ではない」とし、利益率が他社と比べてとても低いことやコスト構造が悪化していること、ゲームパスを含むゲーム部門の成長が期待を下回ったことを説明しています。こうした背景には昨今ニュースになっているメモリやストレージなどのハードウェア部品の高騰なども影響していると思われます。
アクティビジョン買収について「どう捉えるべきか判断は難しい」
海外のインタビューでは、アシャ・シャルマさんが就任から100日の総括について語るなかで、インタビュアーからのアクティビジョン・ブリザードの買収は成功していると思うかという質問に回答しています。
回答では、アクティビジョン・ブリザードのIPである「Call of Duty」「キャンディークラッシュ」「World of Warcraft」のタイトルを具体的にあげて、これらを取得できたことを良いことであると回答しています。加えて、傘下のスタジオについて「20年もの間、毎年予測可能なヒットを生み出し続けてきたチームを欲しがらない人がいますか? だから私はアクティビジョン・ブリザード・キングが大好きです。」と答えています。
その一方で、「ChatGPT以前に私たちの戦略がコアなコンソール中心だった時期に買ったもので、今あの判断をどう捉えるべきかは難しいです。ただし、これらは素晴らしい資産だと思っていますし、今後も投資を続けていくつもりです。」とも回答しています。
一部のメディアは、「この発言に一種の『買い手の後悔』のような気配を読み取り、『率直に言ってかなり衝撃的だった』」と評しています。
クラッシュの開発スタジオに訪れた変化
アクティビジョン・ブリザードでは、これまで以前の特集でまとめたように、後述のブリザード オールバニも含め「クラッシュ・バンディクー」シリーズを過去に手掛けたスタジオが5つ所属していました。
いずれのスタジオも従業員削減の影響は受けていると考えられますが、「クラッシュ・バンディクーレーシング ブッとびニトロ!」のBeenoxと「クラッシュ・バンディクーブッとび!マルチワールド」のKingは現在も同じスタジオ名のまま、アクティビジョン傘下で業務を続けています。
大きな変化があったのは、「クラッシュ・バンディクーがっちゃんこワールド」のRadical Entertainmentです。正式な発表はないものの、買収後に消滅したものと思われます。所属していた従業員は、アクティビジョンバンクーバーに合流しているようです。スタジオの創業者は2024年にNew Radical GamesというRadical Entertainmentの精神を受け継いだ新スタジオを設立しています。
Vicarious Visionsについてもここで紹介したいと思います。このスタジオは「クラッシュ・バンディクーアドバンス」「クラッシュ・バンディクーアドバンス2」「クラッシュ・バンディクー爆走!ニトロカート」「クラッシュ・バンディクーアドバンス わくわく友ダチ大作戦!」「クラッシュ・バンディクーブッとび3段もり!」を手がけました。マイクロソフトによる買収前の2021年にスタジオは同じアクティビジョン・ブリザードの傘下である ブリザードに統合され、スタジオ名を「ブリザード オールバニ」に変更し、以降はブリザードの管理する作品を手掛ける方針が発表されました。同チームの規模をグローバルに拡大させる計画を進めているとのことで、スタジオ自体が消滅したということではないものの、「クラッシュ・バンディクー」はアクティビジョンの管理する作品であるため、今後はこのスタジオが「クラッシュ・バンディクー」を作る可能性は低いと考えられます。「クラッシュ・バンディクーブッとび3段もり!」は2000万本を超えて、シリーズ最大のヒット作でもあったため、シリーズファンとしては残念でもある方針です。
「クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース」や「クラッシュ・チーム・ランブル」を作ったToys for Bobにも大きな変化がありました。マイクロソフトによる買収後の2024年には従業員の削減が実施され、スタジオのオフィスも閉鎖し完全リモートワークで存続していく方針が示されました。その翌月にはマイクロソフトからの独立を発表しています。ただし、この独立については「良い発表である」というコミュニティの受け止めも多いようです。というのも、アクティビジョン傘下のスタジオであったToys for Bobは、これまで「スカイランダーズ」や「スパイロ」など子供から大人まで幅広い世代をターゲットにしたファンタジーな世界観のゲームで親しまれてきましたが、近年では「Call of Duty」の開発サポートを行うスタジオのひとつとなっていて、スタジオの個性が活かされているとは言いにくい状況でした。
また、マイクロソフトから独立はしたものの、今後もマイクロソフトやXBOXと連携した新作の開発を行うこともあわせて発表され、のちにそれは今年発表されたスパイロ最新作となります。
マイクロソフトの所有する作品の新作を スタジオの個性も活かした形で、引き続き手掛けることができる…というのは最も理想的な形かもしれませんし、このスタジオであれば新作の「クラッシュ・バンディクー」を将来的に手掛ける可能性もあり得ると言えます。
優先度の高いタイトルとは?
先に記載したように、XBOX史上最大規模の組織再編「XBOX リセット」では、より優先度の高いプロジェクトに投資を集中させるという事業計画の見直しも示されています。すでに発表済みのプロジェクトの開発中止はないとのことですが、ここで気になるのは「クラッシュ・バンディクー」はその「優先度が高い」ものであるか という点です。
これは一概に評価が難しく、このことを報じるメディアでは「Halo」「Fallout」「The Elder Scrolls」「Forza Horizon」「Fable」「Gears of War」のタイトルが「優先度が高い」例としてあげられています。
加えて、マイクロソフト傘下のBethesda Game Studiosはこの発表があったあと、「優先度」を心配していたBethesdaファンに向けて「スターフィールド」「Fallout 76」のアップデートが継続されることや、新たに「Fallout 3」と「Fallout: New Vegas」のリマスター版を開発していること、「The Elder Scrolls VI」と「Fallout 5」のプロジェクトが進行中であることを公開しました。
Bethesda Game Studiosのなかでこれらのタイトルが「優先度が高い」ものであると言えます。別の報道では、ここに含まれない「Avowed」の続編や未発表の他プロジェクトが開発中止となったと伝えられています。
一方、アクティビジョン・ブリザードについては2026年7月21日現在、そうしたアナウンスは行われていません。先に書いた「スパイロ」の新作はこの優先度についての方針が示される前に発表されたものとなります。「クラッシュ・バンディクー」は、最近でも「クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!」が2000万本、「クラッシュ・バンディクーレーシング ブッとびニトロ!」が1000万本を超える大ヒットを記録していることから「優先度が高い」と判断される可能性もありますが、アクティビジョン・ブリザードには「Call of Duty」や「ディアブロ」など、さらに大きなシリーズが多く存在していることは留意する必要があります。
シリーズ30周年の予告が公開されている!
今回のこのトピック記事では、アクティビジョン・ブリザードを含むマイクロソフトのここ数年の大きな変化をお伝えしてきました。
2023年にまとめたときに想像したようなクラッシュを開発する可能性のあるスタジオが減ってしまったことや、日本からXbox Game Studiosがなくなってしまったことなど悲しい情報が中心になりましたが、今年は「クラッシュ・バンディクー」30周年の記念すべき年でもあります。
最新のアクティビジョンの動きを見ると、この記念すべき年に備えて何かを準備しているようです。海外向けに予告とも受け取れる「クラッシュ・バンディクー」の短い映像が公開されているので、近日中に更新予定のトピック記事でその予告についてお伝えします。
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